242号 人生あれこれ #02 待ち望まれた私の誕生

242号 人生あれこれ #02 待ち望まれた私の誕生

私は、第二次世界大戦の日本軍の戦況華々しかった12月の某日に、神戸市の桜口町(JR六甲道駅)でこの世に生を受けた。くしくもパールハーバー開戦のちょうど1年後であった。

両親はなかなか子宝に恵まれず、結婚してすでに6年の歳月が流れていたので、待ち焦がれていた男の子、この天からの「授かりもの」に大変な喜びようだったそうである。その後も兄弟姉妹には恵まれず、私は「ひとりっ子」として育てられた。そしてこれが「善しきに付け、悪しきに付け」私に与えられた「我が人生」となった。命名に当たって、戦時中の新聞の活字に躍っていた「正義」の言葉をとって、「常に正しく義を持って世の中を生きろ」との強い願いを込めて「正義:まさよし」と名付けたと父母から聞かされた。


さて、地球上の生物は2,000万種とも4,000万種とも言われている。最近の遺伝子学によると、植物である稲と動物である人間の遺伝子(生命の設計図)は構造的には同一で、まったく同じ遺伝子暗号を使っている。遺伝子配列での相違の部分は60%あるが、40%は同じだそうだ。人間とチンパンジーでは98.8%は同一で、違いはたった1.2%に過ぎない。遺伝子学者の村上和雄博士が、地球上に存在するすべての生物は「同一家族」に属していると言っているように、地球上の人間をはじめとする全ての動物から植物に至るまで遺伝子にはたくさんの共通、共有部分があり、全ての生物は地球上に生きる生き物としてみんな同じ「命の親」で繋がっている。

地球上の親戚同様な多くの動植物の中から選ばれて「人間」として生まれてきたこと、また数億個の精子の中のたった一つが受精し生存して「生命」を育んだこと、さらには一組の両親から70兆の種類のDNAの子供の生まれる選択肢の中から、かけがえのない一人として私のDNAを持って生まれてきたこと、このような天文学的確率で誕生した奇跡を考えるとき、人間としての自分自身の尊厳を改めて深く認識させられ、両親への感謝とともに、地球上に人間としての生命を与えられ生かされていることに心から感謝せずにはいられない。自分に与えられた現在の職務を天からの使命と考え、その責を果たすために一生懸命に生きなければ天の咎が下されるように思えてならない。


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