264号 人生あれこれ #24 事業多角化への道程(5)

264号 人生あれこれ #24 事業多角化への道程(5)

事業多角化の大きな柱であった住関連商品第一弾の「鋼製雨戸」は、期待を上回る好調な販売で増収増益が続いた。住宅関連事業の柱を太らせるため、更に新しい商品の企画・開発に積極的に取り組んだ。 

1984年(S59年)のオーエム機器(株)設立10周年に公表した長期経営計画では10年後の1994年(H6年)売上高目標を「100億円」に設定した。策定時の1984年の売上高は僅か19億円であり10年間で5倍の売上高にするという壮大かつ遠大な計画である。その時の意気込みは多少「はったり」もあったが相当なものであった。

10年後の1994年売上高実績は、その間に土地バブル崩壊で景気低迷が続くなど紆余曲折があったが「84億円」となり、翌年の1995年には目標の100億円には僅か届かなかったが「99.6億」を達成することができた。夢と大いなる希望を抱いて掲げた目標数字は、実績として我ながら驚異的と思える数字でかなえられた。これはお客様に恵まれ、そして素晴らしい能力を発揮した社員とのコラボレーションが会社のパワーとなって実現できた。

 


シャッター雨戸.jpg
特にこの間、会社は商品群の拡充と顧客の多様化に果敢に挑戦した。

 

住宅関連商品では、雨戸のバリエーション拡充(ルーバー雨戸その他)や新しい商品として「クローゼットドアー」、「断熱玄関ドアー」、「シャッター雨戸」などを製品化した。

 

また新分野の建設関連商品として、スチール製の「二重床フロアー」、「物置と浴室の断熱パネル」や「建築金具」などの製品化も果たした。

 

物流関連商品として、運搬用アルミ手押し車の「アルキャリア」、「ドーリー車」、棚の「シェルフ」を製品化するなど異分野の商品群の拡大を図った。

 

一方で、鋼板製品の「質」の画期的向上にも挑戦した

 

日本人の住宅に関する感覚は、製品精度の良さもさることながら木のぬくもりへの限りない愛着も忘れ難いものがあり、まず、鋼製の雨戸やクローゼットドアーに見た目の木質感を出すために「木目の塩ビ鋼板」を使用し「見た目に木質感」をかもし出した。更には、触って木質質感を感じさせるために単板鋼製製品からサンドイッチ鋼板にウレタン注入した「コンポジット商品」とし厚みと「質感」の向上を図りより木質に近いものにした。

オフィス用二重床.jpg

 

建設関連商品としては、1974年に「スチール製二重床フロアー」が完成し、まず床下配線をする電算室用フロアーに採用され、次にパソコンの普及と共にオフィス用スチール製二重床フロアーを完成させ販売した。従来は高価なアルミフロアーしかなかった日本で初のスチール製フロアーメーカーとして脚光を浴びた。

 

このオフィス用スチール製フロアーの歩行質感を向上するために、スチール製フロアーの内部に注入物を入れたコンポジットフロアーの開発を行った。その第一弾はモルタルコンポジットフロアー、第二弾はウッドコアーコンポジットフロアーである。現在、このウッドコアーコンポジットフロアーが当社の主流となっている。フロアーの表面材も従来のタイルとカーペットだけから、自然石張りパネルを開発するなど製品の多様化を図った。

 

モルタルコンポジットフロアーは横浜のシンボルとなっている「ランドマークタワービル」で初の全面採用となる快挙を成し遂げた。その後もウッドコアーコンポジットを含めて大手のテレビ放送局本社ビルや銀行・生保、大手町・大阪駅界隈の大手ビル、衆議院会館、大学など多くの有名ビルのフロアーにご採用を頂いている。

 

このように製品群の拡充と鋼板製品の質感の向上で顧客の一層の多様化が進展し、納入先も製造メーカーから次第によりユーザーに近い大手ハウスメーカーやゼネコンなどへと変化していったのである。


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