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277号 人生あれこれ ロシア視察記(2)

-2021/09/13-

ロシアトヨタ工場.jpg2008年8月24日成田空港を出発した自動車部品工業会役員のロシア調査団はフランクフルトで一泊し、翌朝サンクトペテルブルグへ向かった。午後は市内視察後に結団式を行い、船上レストランでの夕食会に臨んだ。翌日はサンクトペテルブルグに既に進出し稼働していたロシアトヨタ自動車とロシアトヨタ紡織、豊田通商などを見学し、三井物産のロシア支店長から「ロシアについて」の講演を聴いた。ロシアにはスリが多く警察官は賃金が安い為に頼りにならならず自分で気を付ける外ないと言われる。マフィアもはびこっており日本のやくざと大変気が合うそうだ。土地の私有権が2000年に初めて認められ、土地バブルが起こり、好立地にはマンションが次々と建設されて格差社会となってきた。これまでの悪法と言われた節酒法も廃止されたが、ホテル代は非常に高く観光インフラは余り良くないと言う。

 

サンクトペテルブルグはピョートル大帝の造った「文化の街&美しい水の街」で多くの人の憧れの街であった。また一方で北米のデトロイトのような自動車産業の集積地でもある。トヨタ自工の工場の向かいにGMの工場、少し離れたところにスズキ自工と自動車部品の大手マグマの工場がある。新たに建設中の日産自動車&フォードの工場もある。工場用地は全てロシア国家の財産であるが、泥炭地層の為に土壌改良が必要だそうだ。

 

船上レストラン.jpgトヨタ自工は2007年12月生産開始し現在日産40台の生産をしている。能力は1直2万台、投資は2億ドルだそうだ。ロシアの自動車工場は三菱自工&プジョーシトロエンの合弁会社と現代自工とロシアトヨタ自工であった。トヨタ紡織の説明ではロシアでの工場運営の問題は労働問題で、高い離職率(40%)、高い賃金アップ率(30%)であると言う。採用はインターネットで行われ、ビザの取得には時間がかかり赴任するのに半年かかると言う。部品の国内調達はバッテリー、ウインドガラス、タイヤの三点だけでドライブシャフトは米国調達、ワイヤーハーネスは欧州からとなっている。大半の部品は日本からシベリア鉄道を経由して運搬されるのでリードタイムは50日掛かる。リードタイムの短縮は欧州の部品メーカーが今後どの程度進出して呉れるかであると言う。工場内のコミュニケーションの基本は英語であるが、現場に近くなるほどロシア語であると言う。現場は通訳を介して日本語と英語とロシア語のちゃんぽんで行われている。現場にはロボットは全く導入されておらず、3000点のスポットは全て手作業である。現地の賃金アップ率が高く日本との賃金格差が無くなりつつあり、どの時点で自動化するかが課題となっている。作業者の多能工化は労働組合との契約上出来ないので日本のような生産性は確保できない。労働組合の設立は簡単に出来るが設立の拒否はできない。これまでに進出していたフォードは労働組合との問題で相当に苦しんだそうだ。

 

企業進出ではロシアへの進出認可を受ける手続きが大変な作業である。ロシアには企業進出を大歓迎する姿勢は無く、お役所仕事的で申請書類は窓口でいつまでも山積にされ、毎日窓口に足を運び積まれている申請書類の一番上に置き直し、窓口の人に早急に審査をして貰える様にお願いするのだが彼らの横柄な態度には苦労させられ閉口するそうだ。これまでの視察を終えて参加者の誰一人としてロシアに進出したいと言う人はいなかった。


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