12月(2010年)からよく歩いている。思い立ったのはおだやかな陽気だった東京で、東京駅前で午後一番にあった打ち合わせが早めに終わったの で、オーエム産業が展示会をしていた浜松町まで東京駅から歩いてみた。NHK大河ドラマの龍馬伝を見ていて、龍馬は土佐から大坂、土佐から江戸までも何度 も歩いて往復していたんだなと思ったのがきっかけだ。パソコンも入った重たいカバンを提げて、12月だというのに汗だくになって歩いた。東京駅からはとバ ス乗り場の横を抜け、銀座を横断し、汐留から山手線に沿って浜松町まで。
この日以来、早 朝に運動公園などご近所さんを歩いたり、自宅から出張時に岡山駅まで、岡山市内の会合先のホテルや食事場所まで、オーエム産業本社(岡山市野田)まで歩い たり、東京駅からオーエム機器の営業所がある茅場町まで、東武金崎駅から栃木工場まで、その他にも出張先のホテルのまわりをぐるりと歩いたり、観光地(や 飲み屋街)があればその辺りまでなど歩いている。たまに写真も撮る。時間にすると、30分から1時間程度である。
もともと自転車が好きで乗っているが、風が冷たくきつい日はやはり気が乗らない。そうこうしていると数ヵ月も乗らなかったりする。歩くのは、風もあ まり気にならず、この時期なら汗もそんなにかかず、気持ちがいいものだ。実は、親父が毎日歩いているので、マネをするみたいでいやだと思っていたことも あったが、やってみるとそう思う。
自転車も、街の匂いや季節の変化、こんなところがあっ たんだとか感じられて楽しい。自転車に比べると"歩く"のは、行動範囲は狭いけど、自転車以上に感じることがある。気になるお店など気軽にそっとのぞいて みることもできる。自転車は"浅く広く"で、歩くのは"狭く深く"といった感じ。
車や自転車に乗っていると、安全など"気をつけること"がけっこうある。都度判断が必要だし、何かに気をとられると危ない。一方、"歩く"のにはそれほどない。
歩き始めてみると、人間には歩くリズムが合っていると思うようになってきた。足の裏が刺激されるからか、考え事もすっきりまとまってくるような気がする。なんがかとても"楽(タノシイ、ラク、気持ちいい・・・)"なのである。
飛 行機や新幹線、自動車など自分の力以上の速度で移動できる乗り物があるが、疲れる。出張などの移動で疲れるのは、時間ではなく移動距離のような気がする。 移動距離が長ければ長いほど、自分が住んでいる街との匂いの違い、気候の違い、言葉の違い、考え方の違い、文化の違いが大きくなるからかなと思う。イン ターネットによって、空間と時間も飛び越えられるようになったが、現実世界との違いは大きくて、うわべだけならいいが、どっぷり浸かるとやはり疲れるよう な気がする。
そう考えると、自分が生活する、歩いて行ける範囲の地元で、生活のすべてができると幸せかなと思う。年をとったら、歩いて行ける範囲で生活できたらいいなと思う。
今年の僕の書き初めは「おおらか」だ。心を広くなどの想いもあるが、生活ではゆっくりゆっくりと思っている。毎日きちんと歩こうなどとは思っていない。 ウォーキングのように歩幅や腕の振りにも気をつけていない。時間があれば"できるだけ歩こう"である。いつまでも"いつでも歩ける"体でいたい。